ユーザの「知りたい」に、いつでも、正確に、丁寧に。
ユーザからの質問に24時間365日いつでもお答えするAI音声チャットボット、それが私たちの開発した「AIミナライ」です。AIミナライは特定業界に特化したプロダクトではなく、幅広い業種・サービスで活用できる汎用的なAIチャットボットです。今回はその活用事例のひとつとして、ホテルや旅館といった宿泊業での利用シーンを紹介します。
テストにこだわる理由
たとえばホテルでは、「駐車場はありますか?」や「大浴場の利用時間は?」といった質問に正確に答え、もし答えが見つからなければ、ご希望に応じてスタッフに直接おつなぎすることもできます。
このサービスを本当にユーザに安心してご利用いただくためには、「いつ、誰が、どのような聞き方をしても、常に正しい回答が返ってくること」が最も重要です。そのため、私たちは開発と同程度か、それ以上に「テスト」に注力しています。
なぜ、そこまでテストにこだわるのか?その理由は、大きく分けて3つあります。
1. ユーザの質問はいつも予想以上だから
「近くのコンビニは?」とシンプルに尋ねるユーザもいれば、「夜中に小腹がすいたので、ホテルから歩いて行ける範囲に何かありますか?」といった、一見変わった尋ね方をするユーザもいます。ユーザの質問の仕方は本当にさまざまです。だからこそ、どんな言い方でも正しく意図を汲み取れるよう、あらゆるパターンを想定してテストしています。
2. 曖昧な答えや間違いはユーザをがっかりさせるから
チャットボットはときに「それらしいけれど間違った答え」を返すことがあります(ハルシネーション)。「プールはありますか?」という質問に、「はい、ございます」と答えたものの、実際にはない…。そんな誤った情報はユーザの期待を裏切り、迷惑をかけてしまいます。私たちはこうした間違いが起きないように、AIミナライの対話を徹底的に検証しています。
3. 常に丁寧で礼儀正しい対応を保つため
宿泊施設は、ユーザに心からリラックスして過ごしていただく場所です。そのため、常に丁寧で温かい対応を保つことが不可欠だと考えます。質問が曖昧だったり、聞き方が少し乱暴だったり、クレームのように聞こえる場合でも、変わらぬ丁寧さでユーザに向き合えるか。私たちは、こうした応答の品質も繰り返し確認しています。
私たちがこのようにテストにも力を入れているのは、単なる機能的な確認のためだけではありません。すべてはユーザが「AIミナライに聞いてよかった」と感じてもらえる、その安心感と満足感のためです。
AIミナライの仕組みは?
私たちの「テスト」へのこだわりをより深く理解してもらうために、まずは「AIミナライ」がどのように動作しているのか、その基本的な仕組みを紹介します。
AIミナライはRetrieval-Augmented Generation (RAG)という、大規模言語モデル(LLM)に検索機能を組み合わせた技術を採用しています。難しく聞こえるかもしれませんが、この仕組みは人が情報を探すときの流れととてもよく似ています。
では、ホテルについて何かを調べたいとき、皆さんならどうしますか?
- まず、知りたいことを頭の中で整理します
- 次に、ホテルのウェブサイトを探し、FAQページやサービス案内を確認します
- そして、ページの中から自分の疑問に合う答えを探します
- 見つかった答えを、自分にわかりやすい形にまとめ直します
AIミナライも、ほとんど同じ流れで検索と回答を行っています。
- ユーザの知りたいことを理解する:「駐車場はあるかな?」「近くにコンビニはある?」といった疑問を受け取り、まずは意図を整理します。
- ホテルの公式情報を参照する:AIミナライは、事前にホテルスタッフから提供された公式のQ&Aやサービス案内を知識として持っています。
- 最適な答えをすばやく見つける:ユーザの意図を正確に読み取り、その知識の中から最もふさわしい答えを瞬時に探し出します。
- 答えを丁寧にまとめる:見つけた情報を、まるでスタッフが直接お答えしているかのように、丁寧でわかりやすい言葉でお伝えします。
さらに便利な点として、もし公式情報に答えが見つからない場合でも、「人間スタッフにつなぎますか?」とご案内し、ご希望があればすぐにスタッフにつなぐことができます。
テストの舞台裏
ここでは、AIミナライの品質を支える「テスト」の具体的な取り組みについて紹介します。実際の現場で信頼されるAIチャットボットを実現するために、どのような観点で検証を行い、どんな工夫を重ねているのか、その裏側を順を追って解説します。
1. ユーザの多様な状況を想定する
ホテルに問い合わせが発生する状況は、主に次の3つに分類できます。
- これから宿泊を検討しているとき
- すでに予約済みで詳細を確認したいとき
- すでに滞在中にすぐに情報が必要なとき
この状況ごとに、ユーザが求める情報は大きく異なります。たとえば、車で来る予定なら「駐車場の有無」、家族旅行なら「子供向けの設備」、出張であれば「Wi-Fiの安定性」が重要になる場合があります。
こうした差異を踏まえ、まずは多様なユーザ像(ペルソナ)を設定することからテストを開始します。「車で移動する家族連れ」「短時間のビジネス利用」「観光で長期滞在する個人」などの典型的な利用パターンを定義し、具体的なユーザ像を想定します。
次に、想定したユーザごとに一連の質問セットを用意し、それを用いて会話のシミュレーションを繰り返すことで、AIミナライがさまざまな状況でも適切な応答を返せるかを検証します。このようなテストによって、異なる前提条件やニーズに対しても安定した回答ができるかを確認しています。
2. 多様な質問表現への対応
前述のペルソナ設定で質問セットを準備したうえで、次に注目すべきは、「同じ質問でも、人によって言い方はまったく違う」という点です。たとえば「近くにコンビニはありますか?」という意図は、実際には以下のような多様な言い回しに変化します。
- ストレートな表現:「ホテルの近くにコンビニってあります?」
- 状況を加えた表現:「夜遅くに小腹がすいたとき、歩いて行ける範囲にコンビニありますか?」
- 省略的な表現:「すみません、歩いて行ける距離に食べ物売ってるところってあります?」
- 複合的な質問:「駐車場と、あと歩いて行けるコンビニってあります?」
これらはいずれも同一の情報(ホテル周辺のコンビニの有無)を求めていますが、文の構造や語彙は大きく異なります。例えばインターネット検索の場面では、同じ目的でも検索キーワードの選び方や表現が人によって異なり、答えが見つからない場合、ユーザは別の言い回しに変えることがあります。
AIミナライのテストでは、1つの答えに対して考えられるあらゆる質問パターンを準備し、どのような表現でも正しく応答できるかを検証します。これにより、実際の利用環境で発生する言い回しの揺れや曖昧さにも対応できることを確認しています。
3. 会話の継続性とコンテキスト保持の検証
ホテルに対する問い合わせは、一問一答で完結するとは限りません。実際の利用環境では、複数のやり取りが連続するケースが多く存在します。たとえば、初めに「駐車場はありますか?」と尋ねた後に、次のような追加的な発話が続くことがあります。
- 前の回答の詳細を確認:「それって無料ですか?」
- 誤解を訂正・質問を言い換え:「いや、そうじゃなくて…」
- 新しい話題へ移行:「まあいいや」→次の質問/トーンが厳しくなる
このような実際の会話の流れに対応するためには、単発の質問応答だけでなく、文脈の保持(長期依存関係の管理)や、感情的なトーン変化への適切な応答が求められます。
AIミナライのテストでは、これらの条件を満たすかどうかを確認するために、複数ターンの対話シナリオを再現するシミュレーションを実施しています。各シナリオでは、ユーザが前の質問に基づいて追加質問を行う、言い換える、満足すれば次に進む、あるいは不満を示して人間スタッフへのエスカレーションを求めるといった多様な会話の展開を再現しています。
このプロセスにより、AIミナライが実運用環境に近い複雑な対話の中でも安定して正確かつ丁寧に応答できるかを検証しています。
まとめ
AIミナライは、幅広い業種に適用できる柔軟性を備えながら、実運用の現場に耐える信頼性を確立するためのテストと改善を継続しています。今後もユーザからのフィードバックを取り入れ、精度と応答品質を高めることで、より多くの現場で安心して使える存在を目指します。
こうした地道な評価・アノテーション作業を積み重ねることで、汎用AIを現場で実用に耐える精度へと引き上げています。ネクストリーマーは、AIモデルの評価・アノテーション設計から支援することで、業務特化型AIの開発を後押ししています。
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